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フォーラム福島「現実対虚構inフクシマ 樋口真嗣・丹治匠トークライブ」レポート

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1月28日にフォーラム福島で行われた「現実対虚構inフクシマ 樋口真嗣・丹治匠トークライブ」に行ったのであった。

内容は『エヴァQ』と併映された『巨神兵東京に現わる』と『シン・ゴジラ』の同時上映、その後
樋口真嗣と丹治匠両名のトークショーに加え、観客からの意見を交えたセッションを行うというもの。
主催が「認定NPO法人 ふくしま30年プロジェクト(https://fukushima-30year-project.org/)」であり、311の被害に見舞われた福島県ならではの…という趣旨。
正直筆者は「『巨神兵~』と『ゴジラ』、何より初めてナマで樋口監督が見られる!!!!!」を目的としており
カメラを持参して出来るだけ激写しまくろう、という意気込みだったのだが開場後「そういう場でもないな」と思い
開場直前と終了後の舞台を撮らえるだけに止めたであった。
ステージ(と言っても小さい劇場の為そのままスクリーンの前)には両名に加え「ふくしま30年~」の理事長である
阿部浩美氏、聞き手には同法人のスタッフである平井有太氏、福島在住であり色々活動をしているという女性二人(名前を失念してしまった、スミマセン、本当)が登板した。
阿部氏は以前アニメに関わる仕事をしていたとの事。女性二人はどちらも20代前半(これも上記故曖昧だが少なくとも20代)だそうで、筆者との差にひたすら尊敬の一念である。
以下覚書程度に内容。

 

前売り150枚は完売だったそうで、当日28日の前の26日から会場であるフォーラム福島で整理券を配るという形式。
ネット予約の類はナシで、席は先着順の自由席というなんともアナログチックだが
フォーラム福島は行きつけの劇場であったので、まぁそういうもんだろうという程度。
整理券を受け付けに渡し会場に入り、次第開場したのだが何故か席がまばらに空いていた。何故だ。
2作の上映後、樋口丹治が登場し、メディアで度々見る姿声との同じっぷりに「これVRの類?」と疑ったのも有名人と遭遇する機会の少ないイナカモノだからのハズ。
場は樋口監督が主導し、軽快なトークで笑いが度々起こり話が進み進む。
覚えている限り記す。違っていたりバイアスがかかっていたり正確でない点をご了承を。


樋口

  • 福島とは駅弁で縁があって、郡山の駅弁が大好き。我々が開催している弁戦(ママ)会でも評判。昔茨城に住んでいたのでその縁も。あと円盤餃子
  • 震災後にこのような場で福島に来るのは2度目。1度目は南相馬だったが70代くらいの老人ばかりで「この人達はゴジラを知ってるのか?」と焦った
  • のぼうの城』で水攻めのシーンをやって、その最中に311があった。そこで見る映像が我々が作った映像と同じで相当悩んだ。現実に起こり得ないから成立した娯楽が現実になると笑えなくなる、その葛藤があった。現在も模索中
  • 庵野は初代マニアで、新作『ヤマト』でOPの依頼があった時も初代OPのコンテを完コピしていた。それじゃ庵野に依頼する意味が…。『逆シャア』でガンダムのデザイン依頼があった時は初代ガンダムそのままだった。ニューガンダムなのに…。シンゴジで初代雛形をモデルにしたのもそれが理由。お約束みたいなもの
  • 熱線が紫色なのは基本色の赤に加えて、従来のチェレンコフ光由来の青を混ぜた結果。パチンコとかでやってる主役機が暴れまわる某ロボットアニメも紫なので。ちなみ庵野が嫌いな色は緑で、他の色の好き嫌いは度々上下して変わる
  • レジェゴジを経てシンゴジの依頼を受けたのは慢心のため(笑)。俺ら以外いないし他の人にやらせたくないと思った。今やらないと日本終わっちゃうぞという危機感もあった
  • 第二形態初見時にゴジラじゃない他の怪獣か!?思ってくれたらこちらの思うつぼ。形態変化については公開前に一切情報が開示されていなかったので、公開後ネタバレに配慮してもらったのはありがたかった。まずゴジラという存在そのものがいない状態から始めたかったからの形態変化、今までは姿で皆ゴジラだと認識できたから
  • 第二形態のモデルがラブカなのは、純粋にいいなぁと思ったから。水生生物が陸に上がってきた感じを出したかったので深海生物に行きついた
  • 熱線時に顎がパカッと開くのは、ヘビ等が警戒する時も同じような動作をするのでそれがモデル。ゴジラに感情があるかどうかわからないにしても
  • 「日本の特撮は伝統芸能スターウォーズ万歳」という連中が気に食わなかった。じゃあ伝統芸能やってやるよという事で野村萬斎を起用した(笑)
  • ゴジラファンには「俺の脳内ゴジラゴジラ映画が一番だ!」という人が凄く多いので、そこが自分も含めて不思議
  • ボディーガード役のマフィア梶田だけが庵野によるキャスティングで、他は片桐はいりに至るまで自分。庵野は役者がそもそもわからなかったので
  • 矢口演説シーンにスチャダラパーのANIがいたのだが、全然演技ができなかったから全然映さなかったので豆粒(笑)。結構「現場顔」というのに加え、ピエール瀧をよく起用しているのでその縁。本当ならヤシオリ作戦時にも矢口の隣にANIがいる予定だった
  • タバ作戦で神奈川だけ犠牲になるのに合わせて、神奈川の偉い人が東京がどうのと文句を言うシーンがあったが色々協力させてもらっているためそこはカット。他にも色々その事情でカットされたシーンがある。川瀬陽太と三浦貴大のシーンはその名残みたいなもの
  • のぼうの城』で賞を色々受賞して調子に乗っていたら、進撃の巨人でボロクソに叩かれて(笑)。シンゴジの脚本に間違いが無いか改めて見直した
  • (あのラストカットの意味は何なんですかという質問を受けて)いろいろ想像してほしいのでちょっと答えられらない。ただあれは地獄絵図というのではなくて、どちらかと言えば天国
  • (なんであんなに尻尾が長いんですかという質問を受けて)『ガメラ』の時に尻尾を短くしたらワンカットも映っていなかった、玩具で辛うじて確認できた程度。庵野はヒーロー好きなので全然尻尾に愛着が無い(笑)、怪獣らしさと言えば尻尾だろうと思いCGだから出来るだろうという事で出来るだけ長くした。着ぐるみだと尻尾を長くするとひっくり返っちゃうので長く出来ない、実際従来のゴジラはそれほど長くなかった
  • (園子温が批判していたがという質問を受けて)園さんの娯楽にせず徹底して現実を描くべきという意見はわかる

丹治

  • 君の名は。』で震災はそれほど意識していない。311を境にどうしても表現が影響を受けるというのはある
  • シンゴジにはイメージボードで参加したが、それほどガッツリ関わってはいない。過去に樋口監督と仕事をしているのでその縁。両監督を筆頭に絵描きが凄く多い映画という印象だった。イメージを提出しても両監督とも今まで以上に厳しかった
  • (前述の園子温の批判から関連して)自分の場合、映画はやっぱり娯楽であるべきという意識が前提にある。観た後に前向きになって明日も頑張るぞという気分になれるような

 

見ての通り明らかに樋口監督の方が発言数が多いのだ。
せっかく丹治氏を呼んだのだから、もっと『君の名は。』関連の話を掘り下げるべきではなかったか。
観客からの意見、もとい質問もハッキリ言って今回のテーマに沿ったものが少なかったのもどうか。
筆者も「別に311の話はなぁ…」というスタンスだったが、これでは流石に筋違いではないかという印象がどうしてもある。
だからと言って「関係のない話はするな」「アンタ、それ関係ないよ」とは主催者から言いづらい部分もあるだろうし、難しいところなのだろう。
とはいえ、超・当事者から多くの話を聞けたという意味では、間違いなく有意義な催しであった。

 

最後に一つ。
内容が事前に詳細に知らされていなかったため、質問の時間がある事を予想していなかったのだ。
以前から疑問だった

この問題について監督自身に何故!?とぶつけるチャンスを得たのだが、逃してしまった。
今回の趣旨にも反していないだろう。だがチンタラ挙手を躊躇していた自分が悪いのだ。馬鹿。
実写進撃についても触れてくれていたので、質問の前に「あ、あのっ!俺は実写進撃大好きです!応援してます!」と社交辞令ふうに言う事もできた。
「実写進撃はこの世で最も尊い創作物である」程度は豪語できるのに、監督にそれを一端でも伝えられたのに。
いや、流石にそれはおこがましい。という判断によりナニカ全宇宙的な力ですべきではない、と止められたのだ。
そうなのだろう。いや、そう思わなければやってられない。