ワイルドサイドへの執着

童子の時は語ることも童子のごとく、思ふことも童子の如く、論ずることも童子の如くなりしが、人と成りては童子のことを棄てたり

「百合映画」完全ガイド――「百合」という宗教の場

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 實重彦から始まる映画ガイド、ということだ。本書は百合を発見できる映画を古今東西300本以上紹介していて、日本→海外→アニメの順でリストアップされているのだが、その1本目、日本編である1933年の『港の日本娘』紹介文の出だしが「本作は江藤淳蓮實重彦の~」なのだ。

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『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』――世界は二人の為にある

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「劇場版」とタイトルに付くのは当然TVシリーズからの続編だからだ。TVシリーズからの積み重ねの先にある決算としての物語であって、予習して併せて観るのが当たり前だろう。

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『AKIRA』――黙示録に立ち会うということ

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 画を観る楽しみには色々な種類がある。映画なんて「面白い」か「つまらない」のみで判断すれば良いだろうという考えもあるが、なまじ本数を重ねていくにしたがって哀しいかな、生半可に無駄な知恵が備わってしまうのが映画好きのさだめだ。

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『ANNA/アナ』――美少女ガンアクションの贖罪

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長く美しい脚をエロティックに披露してくれ、『映画は女(エロス)と拳銃(タナトス)』を地で行ける。
――石井隆『黒の天使』Blu-ray BOX 特製ブックレット


 と銃という組み合わせ。それはある意味で男の願望を最も端的に具象化したものと言ってもいい。綺麗で色っぽい女性が走ったり傷ついたりするのは否応なく官能的な匂いを纏う。銃でバンバン撃つのは言うまでもなくミもフタもない破壊衝動の代弁だ。

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『ガス人間第一号』――アウトランドスの恋

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 く「恋は盲目」などと言われたりするが、実際にその通りに目が見えなくなるとしたら困ったものである。この場合の「盲目」というのは「自分でも制御できない感情に振り回されて周りに気を配れなくなる」というような意味だと思われるが、恋愛というのは無条件に素晴らしいもので尊ばれるものとして捉えられがちである、が本質として危険なものであるという気付きなのではないか。

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『楽園』――業と鼓動

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 は人をどう判断するのだろうか? 実際に生身と生身が出会うより前に例えば顔写真がある。「人を見た目で判断するな」とはよく言ったものだが、顔の造形、表情でその人間の知りようもない内面を勝手に推測して捏造してしまうのが常ではないか。

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『狼煙が呼ぶ』――ANARCHY IN THE SKY

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 つも通っている映画館の前で見覚えのある人が煙草をふかしていた。朝の10時頃である。この映画館は歩道に隣接している位置にあるのだが、ここで喫煙するというのは所謂路上喫煙に当たるんじゃないのか、大丈夫なのかな?と少し不安になった。(詳しくは知らない、自分は煙草を吸わないし法律も全くわからないのでひょっとして問題ないのかも知れない)。

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