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そんなブログ

俺達は―暗夜の閃光 炎の中からはじけ飛ぶ 最後の兇弾

人間は死ね!『キングコング:髑髏島の巨神』

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以前『シン・ゴジラ』の不満をブチ撒けた記事で「怪獣映画は物ブッ壊して人ブッ殺してナンボ」と書いたが

『髑髏島の巨神』は孤島が舞台故に「物をブッ壊す」快感には乏しかったが
それを補うが如く「人をブッ殺す」快楽(ここでは怪獣映画特有のそれを指す)には満ち溢れていた映画だった。

そもそもシリーズ作品はおろか怪獣映画の原点中の原点である1933年版『キング・コング』すら未鑑賞だったことを恥じたい。
米兵と日本兵が孤島と思われる場所で戦闘状態に入る…というオープニングで
日本兵が日本刀を取り出すのだが、これには正直「オタク監督特有のアレに外国人特有の日本観が~」と辟易してしまった。
だがそこから巨大な手が岸壁を掴み、コングがヌッと現れ、人間同士の争いから一気にスケールが飛躍するのには心底興奮した。
怪獣から見れば人間などちっぽけな存在だということを絵面でバーン!と有無を言わせず説得する。
ゴジラモスラキングギドラ 大怪獣総攻撃』での大涌谷ゴジラがヌッと顔を表すシーンにも似た名シーンと言っていいと思う。

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次にグッと来たのは調査隊一行がヘリ群で島を縦横無尽してからのくだりだ。
密林に爆弾を投下し、文明の力を行使する。この世界で一番強いのは人間だ!
間違いない。現に島にいる動物達は逃げ惑うしかない。
おい!何かがこっちに向かってくる!何が起こったんだ!?巨大な目に見つめられている!
コングによってヘリがボコボコ撃墜され、今度は逆に人間が蹂躙されるのだ。
調査隊側も何とか対応しようとするが、コングの圧倒的な力には無力。
このシークエンスは、ゴジラ映画で戦車隊などの人間側が、ゴジラの放射熱線なりその他諸々の攻撃で蹂躙される部分に似た快感がある。
正に「行け怪獣!ゴミ共死ね死ね!」という怪獣映画の醍醐味を味わわせてくれる。
でもその後死んだのは人間だということに気付き「ごめんなさい!」となってしまうのだ。
くぅぅ~、これを怪獣映画と言わずして何が怪獣映画か!?
間違いなく人間が死んでいるのはわかる、でも見せ方はグロテスクになっていない。
「グロい」「エグい」という感情が先行してしまわないような見せ方をしているのもこれが怪獣映画として作られた所以だろう。
ヘリ群を全滅させ、去っていくコングにゴジラの面影を見た。
大惨事から生き延びた調査隊は、ジェームズ(トム・ヒドルストン)チームとプレストン(サミュエル・L・ジャクソン)チームに分かれることに。
ジェームズチームは島に置き去りにされたハンク中尉(ジョン・C・ライリー)や原住民と出会ったり、脱出のためにボートを修理したりと
キングコング対ゴジラ』『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』に代表される東宝怪獣映画的な「未開の地」冒険モノの要素を感じて楽しい。
一方コングへの復讐に燃えるプレストンチームは死の匂いが濃厚に漂っていて対照的だ。
竹林で遭遇する「バンブー・スパイダー」の見せ方は『ゴジラの息子』に出てくるクモンガの描写のアップデートを強く感じた。
手足が長いので胴体は遥か見上げる位置にある、というのが斬新。
このクライマックスまでの流れの中にもキチンと定期的に「人死に」が挿入されている。
ビクター(ジョン・オーディス)が突如、怪鳥サイコ・バルチャーに襲われ手足がちょん切られ死というくだりも
ガメラシリーズでの人食い怪獣ギャオスによる描写程度に留まっていて、きちんと怪獣映画の範囲内に収まっている。
最終的には人間とコングが協力してクローラーのボス「スカル・デビル」を倒す、という展開は
ガメラ2 レギオン襲来』での自衛隊ガメラが協力して…を彷彿とさせてアガった。
神秘は大っぴらにせず神秘のままに、という教訓もコングのキャラクターと合わせて見ると「雄化したモスラ」の映画」とも言える。
不満な点を挙げると前述の日本刀をクローズアップし過ぎ、俳優の楽屋ネタ、という「オタオタしい」部分だ。
パシフィック・リム』程では無いがこういう媚びた部分はどうしても白けて感じてしまう。
シンゴジに至ってはそういう部分で塗り固められている、と言ってもいい内容だった。
言ってしまえば客商売なのだから媚びなければ駄目だろうが、それを感じさせない工夫をしないと駄目だろう。
どうも最近の「媚びを前面に出す製作者とそれを享受する観客」という構図には問題があると思う。
でも「人死に大量の怪獣映画を作ってくれて…」というのが先に出てくるので良しとする。
怪獣映画は「日常が非日常に」がキモだと思っているので、「海外が舞台=最初から非日常」の洋怪獣映画にはイマイチ乗れなかったが
孤島怪獣映画なら前提が非日常なのでアリかな、という発見があったのは拾い物。
「怪獣映画やるなら髑髏島の巨神並に人死にやって」というある種のボーダーラインが出来たぞ。

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