百合も年々盛況になっている昨今、皆様いかがお過ごしでしょうか。提供されるコンテンツにおいては有料のものはもちろん、インターネットを使えば無料でも良質の百合を摂取出来る程度には充実してきています。Twitterやpixivに日々UPされる一次創作や二次創作を追っかけるだけで、月刊の「百◯姫」を買う必要などないくらいに。
ということで、毎年恒例無料(タダ)で読めてしまう百合漫画を厳選、紹介していきたい。参考にしたサイトははてなブックマーク、百合ナビなど。なお、百合の解釈は人の数だけ存在すると言われてはいますが、あくまで筆者の基準は「女の関係性」ならバーリトゥード(何でもあり)です。ゲテモノ上等です。中には無料公開期間が終了する作品もあるかも知れませんが、日付は2023年12月30日付です。
ランドエスケープ／西村隆
「死体を埋める」百合の教科書があったなら、間違いなく載る作品。ベタだろうと読みたいものが純度100%でお出しされた感動がある。テキストに頼るポエミーなオチも、尺のおかげでノイズにならない。完璧でしょう。西村隆先生は同じ「となジャン」10Pショート読切でBLに挑戦した『路上の少年たち』もいい感じなので、お好きな方は是非。
その気になれば世界だってぶっ壊せる／蓮尾燈人
月間賞にネーム受賞した変わり種。いかにもマガジン系列な治安の悪さで送るセカイ系ガール・ミーツ・ガール。平然とご都合が横行するが、そんなことは構わねぇ、こういうのが好きなんだ。
ばかでかいゼリーをくう／山崎シノ
ノスタルジーと片思いを掛けた破壊力。ディフォルメからリアル調の描線に移り変わる仕掛けもあざといながら悪くない。やんちゃ悪ガキと真面目委員長の組み合わせ、これです。
ママの友達／木村恭子
意味深長なタイトルから掴みはバッチリ。少女漫画はこんな高度なことやってるんかワレ、という素朴な驚きがあるし、自分の身体について真摯に悩みながら緩やかに連帯、強かにサバイブせんとする様はちょっと畏怖の念すら覚えてしまう。
最近流行りのお嬢様ムーブにオッサン女体化を悪魔合体させた代物。「パクパクですわ！」っていう、アレね。作者の実体験らしいけど、通風ってかかるとそんなに酷いんでしょうか……。
3PB7/6／円満堂
地球人代表であるアカネと実は侵略者であるアオの感情のすれ違いによるコントラストが強烈。後味もしっかり悪くモヤモヤするが、名作というのは大概の場合モヤモヤさせてくれるものだ。
サウナにハマりました／鈴木二三江
何でキラークイーン……？ 脳汁ぷしゃー(古い)。
これはただの贈り物／ねじがなめた
知られざる内外含めた夫婦生活の実態を暴きながら、勢い余って転換するラストが鮮やか。間に挟まる男を通して育んだクソデカ感情というわけだ。いやー、隠微だねぇ……。
夜のケモノ／山田はまち
如何なる事情か分からないが、線路にぶっ倒れている少女を捉えた一ページ目が目を惹く。『処刑遊戯』かよ。当てもない逃避行に出た二人、この後どーするといった具体策は一切示されないまま終わる安定の『明日に向かって撃て！』式。これでいいんですよ。
息することすら許さない／市川苦楽
町田が先輩に対する負の感情を募らせていく過程が生々しくて良い。こうなるとすわ心中かと期待してしまうが、恋と夢を迂回の末に合致させて自己実現を果たすのも筋が通っていてグー。
【この無料(タダ)で読める連載を追え枠】
バカ女26時／遠野めざ、彩乃浦助
この内容からすれば当然桐野夏生『OUT』のような地獄へ一直線なのかと思っていれば、ネタなのかマジなのか分からん調子であまりシリアスにはならず、のらりくらりと外国珍道中やってる(第4話時点)。いつ血みどろになってもおかしくない気はするが、願わくばこのままずっとイチャイチャしていてほしいね。
【レギュ違反になるけどこれもオススメなんだぜ枠】
めぐちゃん、ぬいぐるみでえっちしたよね。／左津衣かおる
2021年。ぬいぐるみを通した疑似インピオという罪深い導入にも関わらず、至って真っ当な着地を見せるウルトラCには驚かされる。左津衣かおる先生は前作『気持ち悪いんだよ、死ね。』(しかし凄いタイトルだ)でも思春期における性嫌悪を扱っているので百合じゃないけど興味があれば。三作目はまだですかね。早く読みたいですわ。
運命よ其処を退け／家守真言
同じく2021年。クレイジーサイコが逮捕されるまでの一部始終を綴るブラックコメディ……ちゅうかホラーなんだけど、あんまり「そういう人」を冷笑する雰囲気を感じられないので安心して読める。家守真言先生は同じく読切である『繭は破られた』、設定を引き継いだ『ノーマルガール』をヤンジャンにて連載中(現在休載中)。バイナウ！
例によって取り上げるサイトに偏りがあるけどしょうがない。pixivやTwitterまで含めると、数が多過ぎて到底チェック出来ないので……。こういうまとめを作っておいて何だが、Fanboxを受け付けていたり商業に進出したりしたら作家さんに金払えよ絶対払えよ！ と申し訳程度に忠告しておいて、来年も百合を楽しんでいきませう。
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