ワイルドサイドへの執着

童子の時は語ることも童子のごとく、思ふことも童子の如く、論ずることも童子の如くなりしが、人と成りては童子のことを棄てたり

年内にキメろ映画ベスト10 ~2021編~

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 年に引き続き、相変わらず災難続きだった世の中だが、暇だったので映画を観ていた。いよいよ今年はそんな余裕もなくなってくると思われる。Twitterハッシュタグから発生した映画ベスト10、今年は邦画が29本、洋画は10本。以下はFilmarksに投稿した感想を加筆・修正したもの。

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『アイの歌声を聴かせて』――百合を試すリトマス紙として

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※この記事は映画本編とは一切関係ありません!
 開初日に『アイの歌声を聴かせて』を観たが、期待以上に良く出来たアニメ映画だった。高校生である彼女ら彼らの青春という類型的な題材を扱いながらも、「歌」という映画にとって扱いの難しい要素を、土屋太鳳ら声優陣のフィジカルと作画で違和感を覚えさせることなく、また意味のあるテーマとしても着地させることに成功している。

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『ゴジラvsコング』――いつまでも怪獣映画を観ているお前へ

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 獣映画において、特撮を使用していないパート、ミニチュアや合成やCGではない、つまり怪獣やメカといった一目でワクワクさせてくれる要素を取っ払った生身の人間が出張るシーンのことを俗に「人間ドラマ」と言う。この定義は制作、現場レベルなら便宜上機能する分別だが、観客がわざわざ「特撮と人間は別」と騒ぎ立てるのもおかしな話ではある。

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『ワンダーエッグ・プライオリティ』特別編――まだまだもういっかい

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 年の一月に放送を開始したTVアニメ『ワンダーエッグ・プライオリティ』は、まず事前情報として脚本である野島伸司の名前を全面に出す鳴り物入りの告知を行った。次いで名前に上がるのが監督である若林信になるが、この名前もコアなアニメファンには知れた存在であることからベテランと若手の組み合わせ、日テレとCloverWorksの共同制作、いやもっと単純にキャラクターデザイン・総作画監督を務めた高橋沙妃による瑞々しく華のある、キャッチーなビジュアルこそが一番分かりやすく目を惹くものだったかも知れない。

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『シン・エヴァンゲリオン劇場版』――これで終わったと思うなよ

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 らかじめ断っておくと、自分は「エヴァンゲリオン」という作品に思い入れはほとんど無い。興味があるとすれば特撮とアニメを掛けた映像的表現やそこから影響を受けた後年の作品、俗にセカイ系と言われる諸作、または樋口真嗣を始めとした庵野秀明から広がる人脈の相互関係と言ったあくまで裏の方の副次的な部分にしかない。

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